アサヒガニ!どんなカニ?  

                          

   前略旧年中はアサヒガニの飼育に加え,子育てにおわれる毎日でしたが,無事に西暦2000年を迎えられました。更なる飛躍の年と意気込み,例年より賑やかな新春を過ごしておりますが,貴方はいかがお過ごしですか?
  さて,2年ほど前に「アサヒガニ!どんなカニ?」と貴方から聞かれ「種子島でよく獲れる,ビワのような甲羅の美味しいカニ」と簡単に答えましたが,最近になって同様な質問を他県の水産試験場職員から受けました。水産関係者が知らなかったことに驚いたのですが,「鹿児島県の特産高級魚」と言っても,他県では馴染みが薄く,むしろ知らない人が多いのだと考えさせられました。と同時に,今更ながら簡単な説明で不親切だったと反省し,改めて説明しようとペンをとりました。   
   アサヒガニは水深20〜80mの比較的沿岸の砂地に生息し,太平洋,インド洋に広く分布,本県では種子島,奄美海域で多く漁獲されています。U1-2-1.jpg (70363 バイト)

漁に使われる漁具は独特のもので図のような50cmの円形の網(かかり網)を延縄にして使用,網に脚を絡めてとる刺網形式です。見た目より高性能で先人の知恵に驚かされます。
  

 

 
 


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アサヒガニは砂に潜って生活しますが,これに適するよう脚の先は尖って,スコツプのような形になっています。またこの脚を上手に使って泳ぎまわれるので,砂の中にじっと隠れているのではなく,意外に我が物顔で海底を闊歩しているかもしれません。

   成体(大人)の雌雄の違いは明瞭で,雄は甲羅が前方に張出していかにも強そうな感じで,対照的に雌は丸みをおびてフンワリとした優しさをイメージさせます。甲羅の長さと幅の関係は,前方に張出した部分を除けば雌雄での差はあまり見られず,下図のような相関が見られます。U1-2-3.jpg (55898 バイト)

   体重も雌雄差はあまり見られず,甲長と体重の関係は下図のようになります。メスの体重はバラツキが目立ちますが,抱卵の有無による影響と思われます。

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  卵数は25000〜240000粒/尾で大型個体ほど多くなります。交尾は雌雄が向きあって抱きついた後;雄が雌の下に潜り込み腹部に乗せて女性上位で行われます。何とも人間的で興味がつきません。


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