Kagoshima Prefectural Fisheries Technology and Development Center
鹿児島県赤潮情報
ホーム>よくある質問
赤潮とは,植物プランクトンが大増殖することによって海水の色が変わることをいいます。
赤潮の歴史は古く奈良時代から続く自然現象の一つとして知られていましたが,最近赤潮が大きな社会問題として取り上げられるようになったのは,赤潮がより多くの漁業被害を伴うようになったからです。
陸上の野菜や花の成長には適度の雨と日光,それと肥料が必要ですね。海水中に存在する植物プランクトンもそれと基本的には同じなのです。光合成をするための日光と適度な塩分濃度を作り出す雨,そして河川などから海域に流れ込む栄養分が肥料の代わりになります。流れ込んだ栄養分は特に湾内や海水交換の悪い場所で豊富にな
り,その結果,植物プランクトンの異常繁殖が起こります。
陸上の植物と大きく違う点は,陸上の植物が成長とともに大きくなりますが,植物プランクトンの場合,大きくなるかわりに数が増える点です。
さらに,潮の流れや海上を吹く風などで,これらのプランクトンが特定の場所に集められると,海水の色が赤色〜茶褐色に変わり,私たちにも赤潮として十分水色の異常に気がつくのです。
プランクトンとは、水中で浮かんだまま生活しているすべての生き物のことで,形や大きさは関係ありません。プランクトンの中には,光合成をする植物性プランクトンと、それら植物性プランクトンなどを食べて生きている動物性プランクトンがいます。
このプランクトンが、魚たちにはとっても大切なエサの役割を果たしています。
一般に魚は鰓から海水中にとけ込んだ酸素を取り込み呼吸をしていますが,赤潮状態のようにプランクトンが高密度に存在すると,ある種のプランクトンが持つ有害成分によって鰓の組織が傷つき,その結果,酸素を取り込めなくなり死んでしまうことが明らかになっています。赤潮は普通海面付近で起こるため,天然の魚は深く潜ることなどによりそれを避けることが出来ますが,網で仕切られた養殖魚の場合,その多くが死んでしまうのです。
これまで一度発生した赤潮を特殊な粘土などで取り除く方法はありますが,残念ながら赤潮の発生自体を完全に抑える方法は今のところありません。
赤潮の発生予測ですが,はっきりと「発生する」「発生しない」とは言えません。なぜなら赤潮の発生は降雨や日射など多くの自然環境が複雑に絡み合い,それらがある種のプランクトンに合致した時に発生するからです。
いろいろな気象条件や海の様子などにいつも注意を払い,赤潮が発生しやすそうな条件を見つけ出し発生を予測することは,養殖魚を死なせないためにも今後の重要な研究課題ともいえます。