赤潮の現状と対策

赤潮は,1966年に開かれた赤潮に関する研究協議会において「プランクトンを主とする海洋微生物の急速な増殖に伴う海色変化」とされ,土砂や化学物質の流入に伴う海色変化はここでいう赤潮ではないが,「赤色」だけにこだわらず緑色や茶色といった変色も赤潮と定義された。また,それは魚介類に無害な赤潮と有害な赤潮の2つに分けられ,以下に本県における近年の有害赤潮の発生状況と平成11年における九州各県の有害赤潮発生状況及び近年の赤潮対策の現状を述べる。

§近年の赤潮発生状況§
本県における近年の赤潮発生件数及び漁業被害金額を図1〜2に示す。
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  赤潮発生件数は,1981年の18件を最高に近年は,数件から10件程度と小康状態で推移している。また,被害件数は,1977年と1990年を最高に1997年以降報告はない。被害金額は,すべての赤潮が有害とは限らないこと,被害規模は赤潮生物の種類,魚種,生け簀の配置等で異なることから,必ずしも発生件数と被害件数には比例しないが,1995
Heterosigma akashiwoにより湾奥において約10億円の漁業被害を最高に,それ以来大規模な漁業被害の報告はない。(図2)

 

また,本県における漁業被害の原因種を金額別にみると約45%がChattonella marinaによるもので,順に,Heterosigma akashiwo,Chattonella antiqua,Distephanus speculum, Cochlodinium sp.,Cochlodinium polykrikoidesとなっている。(図3)
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§本県における平成11年の赤潮発生状況§
平成11年における本県の赤潮の発生件数は,鹿児島湾で3件,八代海で1件と平年より少なめで有害種(H.akashiwo)の発生があったものの,その範囲は局所的でかつ短期間のうちに終息したため,いずれも漁業被害はなかった。(表1)
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  なお,平成2年と3年に鹿児島湾奥部で漁業被害をもたらしたCeratium fususの遊泳細胞が5月下旬に鹿児島湾奥部で最高900ce11/m1確認されたものの漁業被害がでるまでには至らなかった。

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