また,現在ぶり,かんぱちのイリドウイ ルス感染症に対するワクチンの開発試験
も行われており,近い将来販売されるものと思われます。
表2 水産用ワクチンの種類
    ワクチン名  投与法
あゆ・さけ科魚類のビブリオ病
不活化ワクチン
  浸漬法
 
ぶりのα溶血性連鎖球菌症不
活化ワクチン
  経口法
 
まだいのイリドウィルス感染
症不活化ワクチン
  注射法
 

4)水産用ワクチンの購入
  ワクチンは,正しく使用して初めて所期 の効果が得られるという趣旨から,水産庁通達により,ワクチン購入の際は都道府県の指導機関(鹿児島県の場合は,海面は県水産試験場,内水面は県指宿内水面分場) が交付する水産用ワクチン使用指導書が必要です。
  なお,水産用ワクチン使用指導書の交付までの手順は図1のとおりですので留意してください。

 

5)ワクチンの使用実績
  平成10年度の鹿児島県下におけるぶり
 のα溶血性連鎖球菌症不活化ワクチンの
 使用実績は,延べ70業者において1,760千
 尾を対象に約1.6万リットル使用されました。 これは平成9年度と比較すると対象尾数で 4倍,使用量で3.8倍の伸びとなっています。  また,水産試験場で行った使用者を対象 にした有効性のアンケート調査結果によ
 ると,大多数(95.7%)の方が効果があっ
 たとの回答でした。
  その影響か本年度は7月末日現在で,既 に101業者が1,750千尾を対象に約1.1万リ
 ットルが使われており,昨年を上回る使用に なることは間違いなさそうです。
表3 年度別ワクチン使用状況
年 度 業者数  対象尾数 ワクチン使用量

9 年度

   18
   千尾
    396
      リットル
     4,196
10 年度    70     1,759      16,072
11年度    101     1,748      11,397
          * 11年度は7月末日現在

 以上,ワクチンの現状等について述べてきましたが,ワクチンを投与すれば絶対病気はでないとは限りません。
 前述したとおり,ワクチンは魚の生体防御能を利用していますので,投与された魚自体が健康でなければ,十分な免疫が作られない可能性があることを忘れないでください。
 ワクチンの効果を最大限に発揮させるためにはその適正な使用はもとより,何よりも普段からの適切な飼育管理,衛生管理が基本でかつ重要となります。

(生物部 加塩)