カンパチの栄養要求は? |
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鹿児島県のカンパチ養殖生産量は,97年度 で15,844トンで前年比48%増を示し(九州農政局鹿児島統計情報事務所),ブリからカンパチへの移行が目に付きます。そのカンパチ養殖の大きな課題として,輸入種苗から人工種苗への転換と飼餌料の確保が挙げられます。ここでは,今年度行いましたカンパチ稚魚の基礎的栄養要求試験について紹介したいと思います。 1試験の方法 垂水市漁協が海南島から輸入したカンパチ 種苗を飼育試験に供しました。飼育試験開始 時の平均体重は,273g前後でした。試験期 間中の水温は,29.0℃から26.0℃の範囲で, 暫時低下しました。 【試験1】 試験飼料は,主タンパク質源である魚粉量 を66%から88%に調整した粉末混合物にエネル ギー量調整のため,タラ肝油を1.8%から3.7% の間で添加(脂質量9.7%)した4試験飼料(シ ングルモイストペレット:以下SMP)を調整しました(表1)。 【試験2】 また,魚粉量73.5%に調整した粉末混合物 (粗タンパク質量50%)にタラ肝油を3.1%か ら16.5%の間で添加した4試験飼料(SMP)を 調整しました(うち1飼料については,前記 の試験飼料と重複する)(表2)。 |
2試験の結果 試験1の結果を図1に示しました。これを 見ると,平均体重では,飼料の粗タンパク質 で60%区及び55%区(魚粉レベル80.9%及 び88.2%添加)でほぼ同等の成長を示しまし た。また,飼料効率で見ても,これら2区は ほぼ同等の値を示しました。一方,タンパク 質レベルの低い45%区及び50%区では前記の2区より劣る結果となりました。 次に,試験2の結果を図2に示しました。 平均体重では,飼料脂質で13%区が最も優 れ,次いで19%区の順でした。それ以上でも それ以下の脂質レベルでも,成長が劣る傾向にありました。また,飼料効率でみても,平 均体重と同様の傾向で,飼料脂質で13%区が最も優れる結果となりました。 以上から,当試験条件下での好適タンパク 質及び脂質レベルは,それぞれ55%前後及び 13%前後と推察されました。 (化学部前野) |