海藻っておいしいの?

 みなさんは,海藻食べますか?
 いきなり,魚食ならむ藻食普及ではありませんが,ワカメ,ひじき昆布などはよく食べているのではないでしょうか?
 ところが,人間だけではなく魚も海藻が好きなようです。
 同じ海藻を食べるにしても,焼酎にたとえるなら人間はだれやめ程度に飲み(食べる)ますが,魚は朝まで飲まなきゃ満足しないほど飲む(食べる)ようです。(別に私のことではありません。)
 24回日本藻類学会において「藻食性魚類の食害による藻場の衰退」と題してシンポジウムがあり,南日本、特に長崎での事例について報告がありました。
 内容については,ブダイ,アイゴ等藻食性魚類による摂食圧により,藻場が衰退,ひいては崩壊しているのでは,といった報告でした。
 釣りが好きで,ブダイやクロダイなどが海藻(野菜)を食することをご存じの方も多いと思いますが,短時間の間に一帯の海藻を食べ尽くす程である,というのは驚きだと思います。
 本試験場でも長年の間,藻場造成等に取り組んでいますが,なかなかうまくいきません。 これは,幼芽期を中心とするウニ,アメフラシの食害による影響が大きいとされています。(新村他 
1980〜)
 もちろん,魚類による影響も大きいと思われますが,本県においては藻場を形成する前に食害を受けるため,ウニやアメフラシの食害の方が目立っているようです。
 しかし,潜水調査の際注意深く観察していると,ホンダワラ類,ワカメ,オゴノリ,もずくをはじめとする多くの海藻が,ナイフで切ったかのように,あるいはいかにも歯形付きで,時には引きちぎった跡を残して茎のみになっている姿を見ることがあります。
 たいていの場合は,その周囲の一定の水深帯が,バリカンで刈ったかのように同じ長さに切りそろえられています。
 どんな魚(?)が食べているのだろうとしばらく

 

 

見ていますが,なかなかその姿は見せてくれません。一度だけ,種子島において,ボラの群が体をよじりながら,まるで絨毬爆撃するかのように一団となって摂食する姿を観察できました。
 
また,笠沙では,フクロノリに覆われた部分のみが成長し,フクロノリの高さ以上に成長した部分については,きれいに刈られていたホンダワラもありました。

 ただし,魚たちも急に海藻を食べ始めたのではなく,水温の変化等による生息域の変化等により,魚と海藻のバランスが崩れたため,前述のような減少が起きていると思われます。魚だけが悪いわけではないですね。
 しかし,海藻を魚だけに食べさせておくのはもったいないですので,みなさんももっと海藻を食べてください。
 ちなみに,ホンダワラ類の中で一番おいしいのと言われているヤツマタモクは,上部の柔らかいところを一度茹でてあくをとった後,小さく切って砂糖醤油で煮て食べるそうです。試してみてください。
(生物部 田中)

「藻食性魚類の食害による藻滋養の衰退」新井(海藻研究所),野田(水産大学校)四位・桐山(長崎水試)2000 日本藻類学会シンポジウムにて 「藻食民族の文化」沢田(1996)
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