2012.6.13
八代海
[1] 6月12日の調査結果
(1) 赤潮生物の出現状況
全調査点において着色域は確認されませんでした。
有害種については,薄井,御所浦,脇崎の表層及び底層,0〜10m層の柱状採水(脇崎,元ノ尻瀬戸)のそれぞれ海水1Lを1000倍に濃縮して検鏡したところ,元ノ尻瀬戸の柱状採水からコックロディニウムを0.003cells/ml確認しましたが,シャトネラ属は確認されませんでした。なおコックロディニウムは通常検鏡でも1cell/ml確認されました(脇崎5m層)。
珪藻類については,水俣〜出水〜脇崎の南部沿岸で多いが,他の海域では少ない傾向がみられました。
※数字はシャトネラ属の,( )内数字はコックロディニウムの0m,B-1m層の細胞数(cells/ml)
〈濃縮検鏡1000倍〉
脇崎 0.000,0.000
御所浦 0.000,0.000
薄井 0.000,0.000
元ノ尻瀬戸柱状採水 0.000(0.003)
脇崎柱状採水 0.000
(通常検鏡)
脇崎 5m層 (1)
(2) 海 況
表層水温は八代海全域で20.6〜21.5℃で平年同時期より−1.4℃とやや低め,塩分は33.1〜 33.6で平年よりやや高め,透明度は7.0〜14.0mで平年よりやや高めとなっています。
[表層水温平均]
21.1℃ 平年比-1.4℃ 平年よりやや低め
[表層塩分平均]
33.4 平年比+1.6 やや高め
[表層DO平均]
7.3 平年比+0.1 平年並み
[透明度平均]
9.9m 平年比+1.0m やや高め
※( )はH13〜H23年の6月の平均値(同平年値)
[2] 今後の赤潮発生の予想
当所の調査では,有害種のシャトネラ属は今のところ,鹿児島大学委託分を含め,濃縮検鏡でも確認されていませんが,コックロディニウムが一部で確認されています。現在の水温は平年より低いですが,競合する珪藻類が少ない場所もあり,今後の海域の状況によっては,有害種が増殖する可能性がありますので,注意が必要です。
今後とも,定期的な検鏡等により十分な監視を行って下さい。